Act06

========== ACT 6 ==========

----- SCENE 1 -----

 地表の七割を水で覆われた惑星の周囲を回っている金属の箱が笑っているのを、神は見ていた。たしかにそれは笑っていた。大笑いというレベルではない。おかしくておかしくて、太陽電池の羽根をばたつかせ、胴体のトランスポンダがよじれていたのだ。
 衛星が笑い始めたときに、神は、その惑星に生息するサルの一種が右往左往しているのも視野に入ったが、あえて放っておいた。
 一分後、衛星は笑うのを止めて元通りおとなしく地球の周囲を回り始めた。
 ちぇっ、せっかく面白くなると思ったのに。神は少し残念そうな表情で舌打ちした。

----- SCENE 2 -----

 そんな地表の、とある国の、とある街の、とある雑居ビルの薄暗い地下室で、数人の黒い影が、一斉にガッツポーズを作った。
 「やったやった、和尚! 実験成功ですよ。ぼぼぼ僕、もう泣きたいくらいです」
 「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
 「モヒカンの頑張りがよかったものな」
 「いえいえ、麗子ちゃんのプログラムがよかったからですよ」
 「うふふ、それもこれも、姉小路の社長さんのお陰ですわ」
 黒い影たちはアルコールの入ったグラスを手にすると、「すべては、来るべき日のために」と乾杯した。

========== ACT 7 に続く ==========

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